∴ 0=1 –antinomy

∴ 0=1 –antinomy  | 2022

蛍光灯、ステンレス内部皮膜ガラス管、ミラーガラスフィルム、スチール、電線
H1067 W1321 D60 (mm) [同サイズ5点]

「0=1」という自作の仮説は、何を表すのか。「0」と「1」の間にある「有限」と「無限」。完全なる「無」とは、我々の生きる世界では存在し得ない。例えば、ある宇宙の終わりが別の宇宙においては始まりであり、「消滅」や「破壊」は「生成」や「創造」と同等の意味を持つかもしれない。本作では、「0=1」という一見矛盾する概念を、宇宙の成り立ちをイメージして表すことを試みる。ある宇宙において、極めて高密度だが、有限な大きさをもつ粒の中に質量とエネルギーが押し込められると、それが別の宇宙に吐き出されて、新たな星々を形成する。宇宙とは、合わせ鏡の中に映し出される無数の虚像や反射する光の広がりのように、幾重にも生み出されていくものかもしれない。私たちが住む世界において、全く何も存在しない「無」のように思える事象であっても、そこには何かが「存在」し、次なる作用を生じさせるポテンシャルを有する。一方、確かに存在していても人が認識しなければ、それは「無」として扱われることになる。本作を通し、こうした「無」と「存在」の間にある揺らぎに眼差しを向け、矛盾の中で広がる世界を楽しんでもらいたい。