traveler | 2008
タイプCプリント、ヒューズ、FMラジオ
H2500 W6000 D3520 (mm)
FMラジオが受信しているノイズの中には宇宙誕生後間もない頃の光がほんの僅かに含まれている。この光は宇宙背景放射と呼ばれ、現在人類が知り得る最遠の光であり、数十億光年もの長い旅路を経て今ここにたどり着いた。一方、並べられた画像はヒューズが切れる際に発せられた光を直接印画紙に焼き付けたものである。これは消滅によって生成した光が放出される瞬間に残した痕跡である。フレーム内には用いられたガラス管ヒューズが埋め込まれており、それが発光した日時も表記されている。小さなガラス管の中から飛び出していった光は今頃どこを彷徨っているのだろう。