dialogue/preservation | 2007
布、油汚れ、音響機器
H3700 W5500 D15000 (mm)
群馬県桐生市はかつて織物の街として名を馳せていた。街中にはノコギリ屋根の織物工場が数多く点在するが、現在そのほとんどが廃墟として静かに眠っている。そのような地で偶然にも織機の解体現場に遭遇し、作業に参加した。工場を埋め尽くすほどあった織機は解体後、くず鉄として引取られていった。織機の解体は単なる破壊的行為ではなく、時を越えた出会いの連続であった。そのような出会いと別れの錯綜する瞬間に交わされた対話として織機の解体音を記録した。また、解体した織機の部品に付着していた油汚れを布に転写することで、織機一台分の部品の姿形とそれらに蓄積された時を保存した。織機の無くなった工場内に配置された布は淡い光に照らされ、流された解体音は広く響き渡った。破壊しつつも、それらを保存するという本作品における行為は大きな矛盾を孕んでいる。しかし一連の大きな制作の流れの中では破壊も創造も渾然一体となり、同等である。