∴ 0=1 –pole stars (BC100000-AD100000)  | 2021

ネオン灯、ガラス管
H500 W500 D300 (mm) [ネオン管部分各々:同サイズ5点]

万物は流転し、不変なものは存在し得ない。
天の北極に位置する北極星は「不動の星」の異名をもち、地上から見たその位置が変化しないものとして一般的に認識されている。しかし、宇宙の様々な力の影響を受けることによって、地球と北極星の位置関係は長い年月の経過とともに少しずつ変化し続けている。現在の北極星はポラリス(こぐま座α星)であるが、過去から未来にかけてはそれ以外の星々が北極星になり代わる時代もある。ベガ(こと座α星)、トゥバーン(りゅう座α星)、ポラリス(こぐま座α星)、アルデラミン(ケフェウス座α星)、デネブ(はくちょう座α星)。これら5つの星々は過去・現在・未来において北極星となり得るアルファ星である。本作品では、紀元前10万年から西暦10万年の20万年間における、地上から見える北極星の位置変化をシミュレートし、その推移の光跡を線で表しネオン灯で再現している。このシミュレーションは、地球の日周運動、年周運動、歳差運動の影響による変化を表したものであるが、実際の宇宙ではその他にも多くの要素が関係し合うため、より複雑な様相を呈するかもしれない。一見すると、変化しないように思われる星々の位置関係も、長い時間軸に沿って観測すると、変化し続けていることが明らかになる。このように「静」と「動」の概念は視点の違いこそあれ、同じ事象を表し得るのである。